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「第二次世界大戦・ヒトラーの戦い(8)」
参考書籍
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バンゼー会議
一月二十日、ベルリンでRSHA(国家保安本部)長官R・ハイトリヒSS大将が主宰する特別会議がひらかれた。
空軍総司令兼国防閣僚会議議長H・ゲーリング元帥の指令にもとづき、ユダヤ人問題の「最終解決」(ENDL:OSUNG)の
「組織的、実際的、物質的」計画を討議するためである。
会議の結論は、ユダヤ人を「東部の労働配置」につかせること、「相当数の自然淘汰が期待」できるが、
残存者は「反抗能力」の持ち主なので、「処置」すること、などを主意にしていた。
死ぬまで働かせよ、しぶとい奴は殺せ―というのである。
児島襄 「第二次世界大戦・ヒトラーの戦い(8)」
P.382
ユダヤ人「処理」の「手順」
その「手順」は次のようなものであった。
「選別」=【中略】 新しい居住棟にむかう旨を告げられ、男女別のグループで火葬場にむかう。
「到着と注意」=第一、第二火葬場に到着すると、同じ抑留者の「特別作業班」員から各国語で、これから入浴させる、衣類も消毒する、
と告げられる。
「脱衣」=次に脱衣室に誘導され、あとで間違わぬように自分の衣類はひとまとめにするよう、注意をうける。
「入室」=ガス室は、シャワー室風に設計されている。
水道栓、シャワー栓もあるが排水溝はない。天井から床までの支柱らしい鉄パイプがあるが、そのパイプには小孔がぶつぶつあいていた。
抑留者たちは、ぎゅう詰め状態におしこまれるときもあるが、余裕が与えられる場合もある。
室内のたたずまいに関心を示す者はなく、身についた無感動さと無言で浴湯の号令を待った。
「処分」=ドアが閉められると、担当の曹長が叫ぶ。
「さあ、ヤツらに食わせてやれ」
その声を合図に、天井から支柱パイプの中に『ツィクロンB』の結晶が投下され、青酸ガスがゆっくりと小孔からにじみ出た。
まず、パイプに近い抑留者が倒れ、それと気づいた者はドアにむかって走り、阿鼻し叫喚しつつドアをたたき、
あるいは斃れた者の下にもぐりこもうとしたりする。
所長ヘスによれば、最初の青酸ガス噴出で室内の約三分の一は即死し、泣き叫ぶ者は呼吸が激しいので早く死に、
病者、衰弱者、子供がつづくが、結局は「二十分間」後には全員が死亡するのが普通であった、という。
「処理」=入室三十分間後に、換気装置が作動して、ドアが開く。
防毒マスクを装着してゴム長靴をはいた『特別作業班』員があらわれ、ホースで飛散した血、汚物を洗い流す。
もっとも、所長ヘスは、「汚物によって汚れることは稀」だと述べているが、いずれにせよ、洗浄が終わると、
『特別作業班』はロープ、手鉤を使って屍体をひき出す。
そして、身体にかくした金製品、金歯などを回収し、女性の髪を切りとる。
「焼却」=処理を終えた屍体は昇降機で上階の焼却炉にはこばれ、重油を燃やして準備している炉一基に三体の割りで投げ込まれる。
焼却と遺灰の排出は流れ作業でおこなわれ、形をとどめる骨はグラインダーで粉砕される。
「投棄」=遺灰はトラックに山積みされ、川にはこんで、スコップで投棄された。
微粒子状の細かい骨粉なので、川面にふりまかれると、すぐ溶解して消えた。
児島襄 「第二次世界大戦・ヒトラーの戦い(8)」
P.387
ヤルタへ向かう大統領の病状
二月二日
マルタ島の米大統領F・ルーズベルトは、相次ぐ訪問者と会議がつづく過密な日程に身をひたしていたが、
会う者の多くに不安感を与えていた。
大統領ルーズベルトは、朝食後、乗艦・巡洋艦「クインシー」の上甲板に出て地中海の暖かい陽差しをあびていた。
午前十時二十分、国務長官E・ステチニアス、駐ソ大使W・ハリマン、大統領顧問H・ホプキンスが訪れた。
国務長官ステチニアスは、大統領は元気そうに見えた、と記述するが、駐ソ大使ハリマンは別の印象を記録している。
「昨年の選挙のころから、大統領の健康が衰えているとの噂は耳にしていたが、久しぶり会う大統領は、
ひどく衰弱した病人としか思えなかった」
大使ハリマンは、大統領主治医R・マッキンタイヤー海軍少将に大統領の「病状」を質問したが、少将は「心配無用」だと一蹴し、
むしろ顧問ホプキンスに「精密診断」を勧告した。
【中略】
実際には、顧問ホプキンスも重病人ではあったが、【中略】 大統領ルーズベルトよりも約九ヵ月長生きする・・・・・・。
【中略】
キング元帥は、上甲板でひなたぼっこする大統領に会った第一印象を、次のように記述している。
「私とマーシャルは、ワシントン出発前に会見したときとは別人のような大統領の姿に衝撃をうけた。
明らかに重病人である」
児島襄 「第二次世界大戦・ヒトラーの戦い(8)」
P.438
※ 「クリック20世紀」では、引用部分を除いて、固有名詞などの表記を極力統一するよう努めています。
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