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黒溝台会戦
1905/01/25
~ あああ ~
あああ
taro's トーク
黒溝台のときの満州軍総司令部の体たらくについて、司馬遼太郎は「坂の上の雲」の中で、
旅順行きが児玉源太郎のバイオリズムを狂わせたみたいな分析をしているが、taroは単に疲れただけなんじゃなかろうかと思っている。
1年前のこの頃は、彼は参謀本部に泊り込みで作戦を練っていて、それからずっとお国の大事でフル回転し続けていたのだから、
疲れていて当然だし、疲れるとどうしても状況を楽な方に解釈したくなる。
雪解けまでロシア軍の本格的な攻撃はないだろうという希望的観測はその典型のように思える。
この児玉の大失敗を救ったのが秋山好古の頑張りとクロパトキンの退却好きだ。
児玉は内心秋山を拝みたい気持ちだったのではなかろうか。
ちなみに、この2年後、すでに児玉はこの世にない。お疲れ様と言ってあげたい。
引用ロシア軍南下の報はヨーロッパからの電報でも伝えられていたが、前線でも、日本軍右翼に対峙しているロシア軍が減少し、
左翼方面で増加している気配が感じられた。
そして一月二十五日には、日本軍左翼の黒溝台付近で戦闘が始まった。
日本軍は最初、後退してロシア軍を東方にひき出してたたく作戦をとり、黒溝台から退却したが、
ロシア軍は前進せずこの作戦は失敗に終った。
また満州軍参謀部は厳寒積雪の時期には大作戦はないものと信じ込み、
このロシア軍の攻撃も一、二個師団くらいの兵力による威力偵察と考えていた。
しかし、戦闘が進んでみると、七、八個師団の大兵力であることがわかり、日本軍もつぎつぎと増援軍をつぎ込まねばならなかった。
当時ロシア軍は、三軍編成に拡大されており、この攻撃を行なったのは第二軍であったが、
第二軍攻撃が成功すれば、第一、第三軍も総攻撃に出る計画になっていた。
しかし第二軍攻撃中に他の両軍はそれを助けるような作戦を行なわず、
第二軍も二十七日から二十九日にわたる日本軍の反撃によって撃退されてしまった。
この黒溝台付近の会戦で日本軍の死傷者九千三百名、負傷者の半分は凍傷を併発していた。
古屋哲夫 「日露戦争」
P.156この本を入手
引用黒溝台戦がすんでのち、好古が、松川敏胤と馬をならべて騎行したことがある。
「松川さえつれてゆけば大丈夫だ」
と見込んだほどの人物であった。が、結局は秀才にすぎず、児玉の天賦の才質とは異質のものだったという評価もある。
【中略】
黒溝台におけるほとんど敗戦ともいうべき悽惨な戦いの原因をつくったのは、
(総司令部の作戦能力にあるのではないか)
と、好古は考えている。
ただこの男はそのようには生涯ついにひとに語ったことがなく、
「私は黒溝台では負けた。しかし一歩も逃げなかったために、結果としては勝ったかたちになっている」
といったことがあるのみである。
黒溝台の戦いの序幕ともいうべきミシチェンコの大襲撃についても、
その予報を好古はさんざん総司令部に送っていた。
それらの材料および意見は、その後のロシア軍の動きをほとんど的確に言いあてていることからみても、
好古はひとことだけ苦情を松川に言いたかった。
二人は騎行している。
その背後を、永沼秀文中佐がおなじく騎行している。
永沼が、先行の二人の会話をよくおぼえていて、終生、黒溝台のはなしが出るとこのことを語った。
「ともかく難戦というようなものではなかった。
あれだけの悪戦をしてよくもまあもちこたえたものだと思うが、ひるがえって思うとこの悪戦をまねいた原因として
総司令部の手ぬかりがあったように思うが、どうか」
と、好古は婉曲に詰問した。
が、松川敏胤は作戦家の通弊で、自分の作戦のあやまりはみとめたがらず、
「あのときはね、お客さん(ロシア軍)が当然左翼の方から来るはずだと思って、こっちも待っていたんですよ」
と、強弁した。むろんうそである。
総司令部はロシア軍の攻勢に出るということについてはずっと否定的態度でいたし、
まして日本軍の左翼方面に出てくるなどとは思ってはいなかった。
好古はさすがに憤然として、
「それは死んだ連中に対する無礼というものだろう。
お客を待っていたというなら、ちゃんと接待の支度をしておくべきではないか。
なんの接待の準備もしてないところへお客に見舞われたものだからあの大醜態になった。
・・・・・・もともと敵が」
と、好古はしばらくだまり、やがてこの男にしてはめずらしく激しい口調で、
「・・・・・・大集団でやってくるという様子についてあしの手もとから何度も報告し、警報してきたところだ。
そういう予兆を軽視しきっていたためにあの不始末がおこった。
松川、そうは思わんか」
と、なじった。松川はただ沈黙して騎行し、好古もそれ以上はこのことに触れなかった。
司馬遼太郎 「坂の上の雲(5)」
P.364この本を入手
※ 「クリック20世紀」では、引用部分を除いて、固有名詞などの表記を極力統一するよう努めています。
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