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水平社社員、軍隊内の差別撤廃を天皇に直訴
1927/11/19
~ あああ ~
あああ
taro's トーク
ああああああ
引用静止した風景の中で動いているのは、百騎にあまる一列の騎馬の一群と、
その先頭に向って歩いている一人の兵士の姿だけだった。
兵士は左手に銃を提げていたが、陛下の馬前一メートル前のところにくると、突然、片膝を折り、地面に坐った。
折敷の姿勢である。紙をもった右手だけは、突き出すように高く伸びていた。
このとき、高貴なお方ははじめて顔を兵士のほうに向けられたが、
何のことか分らないような怪訝な表情だった。
どうしたのかと、うしろの供奉の誰かに物問いたそうでもあった。
しかし、馬の歩みに停滞はなかった。
このとき、陛下のすぐうしろから、いかめしい顔つきの軍人が列を離れて兵士の傍に来た。
彼は馬上から忙しく手を振って、あっちに行け、というような素振りを示した。
これが今までの威厳ある騎馬の行進を初めて乱した動作だった。
この動作は第六十八連隊を不動金縛りの呪術から解かせた。
小隊長が列伍から離れて北原二等卒のうしろに走ったのは、このときである。
彼は北原の背中を抱きかえるようにしてうしろに引きずった。
つづいて小森班長が駈けよって小隊長に手伝った。
兵士は隊列の中に引戻された。武藤中隊長代理は呆然としていた。
・・・・・・ただそれだけのことである。
時間にして五分間とは経つまい。
汗を流している連隊長の前を、将官たちが睨みつけて通った。
外国武官は馬を寄せ合って私語していた。
あとは元のままである。
騎馬の一行の通ったあとは黄色い埃が立舞い、馬蹄の音の行く手に当る第四師団の先頭のあたりから号令が鳴っていた。
まるで白昼に夢でも見ていたような出来事である。
そんなことは無かった、と言われれば、それも信じられそうなくらいだった。
松本清張 「昭和史発掘(2)」
P.181この本を入手
引用二十三日午後一時には、早くも陸軍省の正式な発表があった。
「北原の所持せし訴状なるものの内容は毫末も皇室に対して不敬の意味を有せず、
単に軍隊内において今なお差別待遇行わるとなし、当局の態度を非難するの辞をもって聖察を乞う旨を記述しあるものなり。
北原泰作は岐阜県稲葉郡黒野村に本籍を有し、入隊前より水平運動に従事しありし者にして、
本年一月歩兵第六十八連隊に入営した際、すでに反軍隊的言動を弄せしことありしが、
入営後も勤務の成績良好ならず、遅刻、離隊等のため処罰二回に及べる者なり。
本人は即時憲兵分隊に収容し、調査のうえ請願令違反として軍法会議に付することとなれり」
松本清張 「昭和史発掘(2)」
P.184この本を入手
※ 「クリック20世紀」では、引用部分を除いて、固有名詞などの表記を極力統一するよう努めています。
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